働き方改革関連法⑯ (10月13日の2つの最高裁判決より②)
こんにちは。
働き方改革関連法について、シリーズで記事にしています。
昨日より、2020年10月13日の2つの最高裁判決について取り上げています。
本日はメトロコマース事件についてです
この裁判では、2名の原告が退職金の支払いを求めて起こした裁判です。
2人の原告の雇用形態と期間は以下の通りでした。
原告X1:平成16年8月に契約社員として採用され、契約期間1年以内の有期契約を繰り返し、平成27年3月31日、65歳に達したことを理由に契約が終了した。
原告X2:平成16年4月契約社員として採用され、契約期間1年以内の有期契約を繰り返し、平成26年3月31日、65歳に達したことを理由に契約が終了した。
この会社では、正社員・契約社員A(平成28年に職種限定社員に変更)・契約社員Bという名称の雇用形態区分が設けられており、この2人は契約社員Bの雇用形態区分でした。
正社員は無期雇用であり、職務の限定は無く、業務の必要により配置転換・職種転換または出向を命ぜられる場合があり、正当な理由なく拒むことは出来ない。
月給制・賞与(本給の2か月分+176,000円)・退職金あり
契約社員Aは、主に契約期間を1年とする有期労働契約を締結した労働者で(原則65歳まで契約は更新されていた)、契約社員Bのキャリアアップの雇用形態として位置づけられていました。勤務場所は、本社の経営管理部施設課,メトロス事業所及びストア・ショップ事業所に限定されていました。
月給制・賞与あり(年額59万4000円)・退職金なし(平成28年4月に制度改定とともに退職金制度あり)
契約社員Bは、契約期間を1年以内とする有期労働契約を締結した労働者で、一時的、補完的な業務に従事するものとされていました。ただし、期間満了後は原則として契約が更新されていました。業務の場所の変更を命ぜられることはあったが,業務の内容に変更はなく、正社員と異なり配置転換や出向を命ぜられることはなかった。
時給制・賞与あり(1回12万円×2回)・退職金なし
判決では
- 退職金は職務遂行能力や責任の程度等を踏まえた労務対価の後払い的性質を持っている
- 退職金は継続的な勤務等に対する功労褒章的性質を持っている
- 業務の内容と責任の程度をみると、業務の内容はおおむね共通するものの、正社員は、休暇や欠勤で不在の販売員に代わって早番や遅番の代務業務を行ったり、複数の売店を統括・売り上げ向上の為の指導・トラブル処理などの業務に従事することがある
- 正社員は配置転換の可能性があり、正当な理由なく拒むことが出来ない
- 平成27年1月当時、契約社員Bと同様の業務内容となっている正社員が存在していたが、関連会社の再編等により生じたもので、特殊事情によるものである
- 契約社員Bから契約社員A 正社員への開かれた試験による登用制度があり、相当数が実際に登用されている
以上のことから、
両者の間に退職金の支給の有無に係る労働条件の相違があることは、不合理であるとまで評価することができるものとはいえない。
としました。
明日は、今回の判決を受けて私が思うことについて記事にします。
本日は以上になります。
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