働き方改革関連法⑰ (10月13日の2つの最高裁判決より③)
こんにちは。
働き方改革関連法について、シリーズで記事にしています。
2020年10月13日の2つの最高裁判決について取り上げました。
本日は、今回の判決で思うことを記事にします。(最高裁の判決に対して、あーだ こーだいうのもおこがましいですが・・・)
まず前提として、私は職務に応じて賃金が支払われること(同一の職務であれば、同一の賃金が支払われること)に賛成の立場です。
hide-syaroushi-shinndannshi.hatenablog.com
一方で、今回の判決は妥当なものであると思います。
理由としては、次のとおりです。
1.職務の内容には実際に差が設けられていたこと
正社員には長期雇用の元で、将来のマネージメント層となるための期待や職務の付与が行われている。(結果そうならないものも存在するが・・)
2.配置転換の有無が異なっていること
配置転換は長期雇用慣行のもとで、将来を考慮した人材育成の観点から、本人の意思に関わらず行われる。本人のみならず家族も含めた影響も大きい。
3.もともと期間を定めて雇用されていること
賞与や退職金には、賃金の後払い的な要素があり、あらかじめ期間を定めて雇用している場合には、その都度給与に含めて支払うべきである
4.正社員への登用制度が整備されていた
本人の意思と能力があれば、正社員に登用されることが可能であり、実際に登用される人も少なからず存在していた。
5.1.から4.にも関わらず、同様の支払いを認めると、全体の賃金引き下げリスクがある
もし、今回の内容にも関わらず、賞与・退職金の支払いを認めると、企業としては全体の労働条件を引き下げることで、辻褄を合わせようとする可能性が高い
この記事をご覧いただいた、皆様はどのように感じられるでしょうか?
メトロコマース事件の判決文の中に、次の一文があります。
正社員に対する退職金が有する複合的な性質やこれを支給する目的を踏まえて、売店業務に従事する正社員と契約社員Bの職務の内容等を考慮すれば、契約社員Bの有期労働契約が原則として更新するものとされ,定年が65歳と定められるなど,必ずしも短期雇用を前提としていたものとはいえず,第1審原告らがいずれも10年前後の勤続期間を有していることをしんしゃくしても・・・・
この一文からすりと、しんしゃくすべきことがもっと大きいようであれば、雇用形態に限らず、支払う必要があるということです。
各企業は、労働条件の再検証を行う必要があります。
本日は以上になります。
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