2020年改正の時間外労働上限規制と賃金請求権の消滅時効延長
こんにちは。
本日は2020年に改正された、労働に関連する法律の中から、
- 時間外労働の上限規制
- 賃金請求権の消滅時効期間2年→3年に延長
この2点を取り上げたいと思います。
以前に労働時間の原則と、それを超える場合に必要な手続きについて、記事にしています。こちらも併せてご覧ください。
hide-syaroushi-shinndannshi.hatenablog.com
現在は、必要な手続きを経て残業をさせる場合でも、上限が設定されています。
2018年4月までは上限は設定されていませんでした。このことにより『青天井に時間外労働が可能であり、過重労働につながっている』と批判されていました。
そこで、大企業は2019年4月から、中小企業については2020年4月から上限規制が設けられるようになりました。
では上限はどのように設定されているのでしょうか?
上限には、原則と特例があるため、更にややこしくなりますが順番に説明をしていきます。
原則
原則の上限のことを【限度時間】といいます。
この限度時間は
①1ヵ月45時間以内
②1年360時間以内
とされています。
特例
特例は、『臨時的な特別の事情がある場合』に、適用することができるとされています。
臨時的な特別の事情については『業務繁忙の場合』のような定め方ではなく、業務の内容を具体的に定める必要があります。
この特例を定めた36協定のことを、『特別条項付き36協定』と言い、以下の上限が適用されます。
①1ヵ月100時間未満
ただし、1年を通じて、2ヵ月~6ヵ月(2ヵ月・3ヵ月・4ヵ月・5ヵ月・6ヵ月のすべて)のどこを切り取っても、月の平均が80時間を超えることは出来ません。
また、45時間を超えて特別条項の下で働かせることが出来るのは、年間で6回までと決められています。
②1年720時間以内
中小企業の中には、過小な人員で事業を運営している場合も少なくなく、時間外労働を業務の繁閑の調整弁として、活用している企業もあると思います。
そのため、上限規制に対応できず、サービス残業につながってしまうようなケースもあるのではないでしょうか?
2020年4月より以下のとおり民法が改正され、リスクが増大していますので、注意が必要です。
賃金請求権の消滅時効期間2年→3年に延長
労働したにも関わらず、支払われなかった賃金を請求する権利が3年に延長されました。(実際には5年に改正されましたが、当面の間は3年とされています)
つまり、サービス残業による未払い賃金は、3年間遡って請求される可能性があるわけです。
従って、労務管理をきちんと行う重要性はますます高まっています。
本日は以上です。
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